
DD方式のFX業者とトレーダーとの関係
DD方式とは?
国内FX業者のほどんどは、DD(Dealing Desk /ディーリング・デスク)方式というシステムを採用しています。
DD方式では、トレーダーと業者との相対取引(店頭取引)が行われることになります。
DD方式はどうやって利益をあげているのか?
DD方式では、業者のディーラーが顧客の注文を処理して利益をあげます。
処理方法としては、主につぎの二つが挙げられます。
順に見て行きましょう。
(1)カバー取引
DD方式の業者は顧客の取引相手となりますので(相対取引)、顧客の注文に応じると自社のポジションをもつことになります。
たとえば、顧客の「買い」注文に応じた場合、業者は「売り」のポジションを保有することになります。
顧客の「買い」ポジションで利益がでると、業者の「売り」ポジションでは損失が発生します。
業者は顧客との取引で発生したポジションに対するリスク(レート変動による損失)を回避するためにカバー取引をおこないます。
「売り」ポジションをもった業者は、カバー先に対して買い注文を出して「買い」ポジションをもちます。
こうすることによって、仮に顧客との取引で生じた「売り」ポジションで損失が出たとしても、カバー先との取引で得た「買い」ポジションが利益となるため、損失の発生を避けることができるのです。
このカバー取引はリスク回避として行われますが、業者は顧客と取引した際のレートとカバー取引の際のレートとの差で利益をあげることもできます。
(2)マリー取引(社内マリー)
たとえば、Aという顧客の買い注文とBという顧客の売り注文をくっつけてしまうのです。
Aさんの買い注文に応じて発生した「売り」ポジションとBさんの売り注文に応じて発生した「買い」ポジションを相殺してしまいます(解消してしまうイメージ)。
カバー取引は行いません。
すべて自社内での処理(操作)になります。
DD方式の業者は、買い注文に応じた時のスプレッドと売り注文に応じた時のスプレッドで利益をあげることができるのです。
「売り」「買い」双方のポジションは解消されてしまっているので、為替リスクは発生しません。
合法的な「呑み行為」としてのマリー取引
いまご紹介したマリー取引ですが、よく「呑み行為」といわれたりもしています。
FXでいうと、FX業者(仲介役)がトレーダー(客)の注文をインターバンク市場(注文先)に発注しないで、自分(FX業者)とトレーダーとの間で取引を完結させる行為になります。
呑み行為では、一方が損すると他方が利益を得る関係になります。
FXでの呑み行為とは具体的にいうと、すべての注文をカバー先(提携している金融機関)に流すのではなく、顧客の注文同士(買い注文と売り注文)を相殺したり保有したりして、残りの部分だけカバー先を経由してインターバンク市場に流すというやり方です。
ですので、マリー取引はかたちとしては「呑み行為」にあたります。
もっとも、この行為自体は別に違法ではありません。
ただ違法ではないものの、実質的な呑み行為という性質上、どうしても顧客と業者とのあいだには利害関係の対立(利益相反関係)が生じやすくなるのもまた事実です。
疑惑を生むDD方式の内部処理
(↑)中でいったいニャにやってるんだ?
DD方式の業者は、基本的には顧客の注文のほとんどを内部処理で完結させます。
カバー取引を通じてインターバンク市場に注文を流すのは、あくまでリスク回避目的です。
インターバンク市場のレートは意識しますが、自社独自のレートを顧客に配信しています。
<やろうと思えば>いつも負けている(業者にとっては利益)トレーダーの注文は「呑んで」、たくさん稼いでいる(業者にとっては損失)トレーダーの注文はインターバンク市場に流してリスクを回避するということさえできてしまいます。
DD方式の業者が行う内部処理(操作)を外部からうかがい知ることはできません。
それゆえ、業者が意図的にレートをずらしたり、スリッページを発生させたり、スプレッドを広げたりしているなどと噂されたりもします。
内部でどのようなことが行われているのか具体的に公表されない(できない)以上、DD方式は透明性(公平性)に欠けるという声がでるのは仕方ないことかもしれません。
最狭スプレッドの「からくり」
いまお話しした通り、DD方式を採用している業者は純粋なスプレッドによる収益のほかに、内部(ディーリングデスク)での<処理操作>でも利益を上げることが可能(むしろこっちがメイン)です。
内部では業者のディーラーがあの手この手で必死に利益を上げようとしています。
ディーラーが内部処理(操作)でしっかり利益を生み出せば、その分スプレッドでの収益を犠牲にして顧客獲得競争で生き残ることができます。
このような「からくり」があるため、実質的な取引手数料であるスプレッドを極限まで狭くすることができるのです。
一般的に国内FX業者が海外FX業者よりも狭いスプレッドを提示できる理由がここにあります。
DD方式の業者もビジネスをやっているわけですから、スプレッドを狭くした分はどこかで埋め合わせする必要があります。
その埋め合わせを可能にしてくれるのが、DD方式による顧客注文の<内部処理(操作)>なのです。
NDD方式のFX業者とトレーダーとの関係
NDD方式とは?
これに対して、海外FX業者の多くがNDD(No Dealing Desk /ノー・ディーリング・デスク)方式というものを採用しています。
スプレッドに関しては変動制となりますが、顧客トレーダーの注文をそのままインターバンク市場に流すため、レートの操作などは行われません。
この点は、自社の独自レートを配信しているDD方式の業者と比べると、はるかに公正だといえます。
NDD方式を採用するFX業者は、顧客トレーダーからの手数料で収益をあげています。
トレーダーが儲かってどんどん取引してくれれば、その分の手数料(スプレッド)が業者側の利益となります。
ですから、NDD方式の業者としても顧客にどんどん儲かってほしいのです。
利益を出せれば「もっと取引したい」「FXを続けたい」って思いますよね?
当然、損が続けば逆になります。
なので、NDD業者は顧客に損してもらいたくないのです。
「がんばれ、顧客!」(勝ってもっともっと取引してくれ!)というスタンスなのです。
NDD方式の業者は、顧客トレーダーにどんどんトレードで利益を出してほしいと心から思っているわけです。
このように、NDD方式のFX業者と顧客トレーダーは、WIn-Winの関係となっています。
最後にひとこと
たしかに、NDD方式のスプレッドはDD方式と比べると見劣りします。
国内業者のスプレッドに慣れてしまうと、海外業者のスプレッドは受け入れがたいものに感じるかもしれません。
しかし、NDD方式には透明性とWinWin関係という根本的な部分でのメリットがあります(約定力の高さとかもメリットです)。
国内業者の「なぞの値動き」でなんだか納得のいかない損失を出した経験のある方や、スリッページが頻発したり、スプレッドが広がりやすかったりといった不満を抱えている方は、NDD方式の業者について目を向けてみるのも一つの選択肢といえます(一概にどちらがいいとはいえませんので実際に使い勝手を試してみるしかありません・・・)。
FX業者を選ぶ際はスプレッドだけではなく、この透明性(DD方式かNDD方式か)という点も考慮するといいかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
<管理人が利用しているNDD方式の海外FX業者>
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